-明らかにされる太陽系と地球深部の固体物質-
玉城教授記念学術講演会について
玉城嘉十郎先生は、1886年のお生まれで、京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さでご他界されましたが、その門下からは新しい分野を拓く物理学者が輩出されました。ご他界後30年に当たり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄付をいただきました。そこで、先生を記念して毎年1回ないし2回、公開の学術講演会を開くことにいたしました。
第1回は1969年秋、大学紛争のさなか、湯川秀樹先生、朝永振一郎先生を講師に招き、開催されました。以後47年、回を重ねること今回で55回に達しました。講演のテーマは必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。
この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生諸君の参加も多く、またもとより公開でありますので、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しております。
日時
2016年12月6日(火曜日)15時00分~17時15分
場所
京都大学 益川ホール・北部総合教育研究棟1階
市バス「京大農学部前」下車 北部構内
⇒アクセスマップ(建物配置図:13番)
講演プログラム
「太陽系の固体原材料物質を探る」
京都大学大学院理学研究科 土`山 明 教授
15時05分~16時05分
太陽系だけでなく宇宙において、元素がどのような割合で存在するか(元素の存在度)は、宇宙の成り立ちと星の進化に伴う元素の合成によって決まっている。地球を始めとする太陽系の固体を作る元素も、このような宇宙における元素の存在度に支配されている。一方、具体的にどのような固体物質が星の周囲で作られ、星間空間でどのような変成を受け、どのような物質が太陽系の固体原材料物質となり、現在見られる固体物質になったかについては、わからないことが多い。天文観測だけでなく、太陽系の始原物質である彗星塵や隕石の分析やその室内再現実験を通じて、物質科学的にこれらの理解がどこまでなされているかについて述べる。また、スターダストやはやぶさ計画など宇宙機によって彗星や小惑星から採取されたサンプルの分析についても触れたい。
「地球中心にはどのような物質があるのか?」
愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター 土屋 卓久 教授
16時10分~17時10分
地球は46億年の長きにわたりダイナミックに活動を続ける惑星である。地震や火山、プレートの移動など、地球表層の変動は多くがマントルの運動に起因しており、また地球磁場は外核の金属流体の対流によって維持されている。しかしながら地球深部はいまだ人類未踏の領域であり、今日でも多くの謎が残されている。約360万気圧、6000℃に達する地球中心の極限的な環境では、岩石も大きく圧縮され時として常識をはるかに超えた振る舞いを示す。そのため下部マントルや核がどのような化学組成を有しているのかすら、まだはっきりとはわかっていない。地球深部はどのような物質からできていて、それが地球の形成や運動とどう関わっているのか?大型放射光施設やスーパーコンピュータなどの先進技術を駆使して、地球深部物質の研究が精力的に行われている。本講演では、世界を先導する我が国の地球深部物質研究について紹介する。
対象
学部生・大学院生・教員・一般
聴講は無料、お申し込みは不要です。
問い合わせ先
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
京都大学大学院理学研究科 社会交流室
FAX:075-762-1346
E-mail:mail(at)cr.sci.kyoto-u.ac.jp
※メール送信の際は、アドレスの(at)を半角の「@」に書き換えてください。
主催
京都大学理学部、財団法人湯川記念財団